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ミサ/レクイエムの式次第
 栄光の賛歌(Gloria)


A-1-c. 栄光の賛歌 (Gloria)  (通)(歌)[ミサ曲:第2曲]

 「死者のためのミサ」の場合は省かれます。
 歌を伴ったミサでは、キリエが終わるとすぐに司祭が自ら第1節の冒頭部を先唱します。多声楽のミサ曲でも、モーツァルトの初期のミサを含めてこの部分、即ち、「Gloria in excelsis Deo(天のいと高きところには・・)」だけはグレゴリオ聖歌の第1節を用いることが長く続いていました。
 本来、グローリアは三位一体の神(創造主である父、キリストである子、それに聖霊)を賞賛する祈りで、既に4世紀にはシリアやギリシャで唱えられていたといわれています。ローマでは6世紀初め頃、それまではクリスマスの時だけに限られていたこの賛歌を、毎日曜日と聖人の祝日に祈るようになり、7世紀には今日のような形でミサの中に定着したといわれています。
 バロック以降のオーケストラ伴奏付きのミサでは、グローリアをオーケストラと合唱のトゥッティで、しかもアレグロ等の速いテンポで始めることが一般的です。また、「Gratias agimus tibi(感謝し奉る)」あるいは「Qui tollis peccata mundi(世の罪を除き給う主よ)」の部分を転調したりテンポを変えたりしてソロに歌わせることが少なく有りません。

《筆者注:K.258のミサ曲を含め、モーツァルトのザルツブルグ時代のミサではこの例は少ない。
Quoniam tu solus Sanctus(主のみ聖なり)」からは必ずトゥッティとなり、最後の節の「Cum SanctoSpiritu(聖霊と共に)」はフーガで演奏されることが伝統的な作曲技法といわれています。
《筆者注:これはK.258 のミサでも該当しています。


「ミサ曲第2曲:Gloria」
天のいと高きところには神に栄光、地には善意の人に平和あれ。

われら主をほめ、主を讃え、主を拝み、主をあがめ、主の大いなる栄光の故に感謝し奉る。

神なる主、天の王、全能の父なる神よ。

主なる御一人子イエズス・キリストよ。

神なる主、神の子羊、父の御子よ。

世の罪を除き給う主よ、われらをあわれみ給え。

世の罪を除き給う主よ、我等の願いを聞き入れ給え。

父の右に座し給う主よ、我等をあわれみ給え。

主のみ聖なり、主のみ王なり、主のみいと高し、イエズス・キリストよ。

聖霊と共に、父なる神の栄光のうちに、アーメン。

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