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ミサ/レクイエムの式次第
 奉納唱 (Offeritorium)


B-1-a. 奉納唱 (Offeritorium)(固)(歌)
      「レクイエム第8曲:Domine Jesu」
      「レクイエム第9曲:Hostias」


 パンとぶどう酒がささげられるとき聖歌隊によって歌われる聖歌です。このパンとぶどう酒は、十字架の上に身をささげてわれわれのために罪の許しと和解のそなえものとなられたキリストの体と血に変えられるわけですから、この奉納は古代の宗教で神前にいけにえの動物を供えたときの儀礼に則っています。通常は感謝のささげものですから、聖書から取られた賛美の句をテクストにした「奉納唱」を歌ってささげますが、「死者のためのミサ」の場合、その特殊な性格を反映して煉獄の刑罰からの救いを祈り全く独自な「奉献唱」となっています。2節に分かれた詩句の長さも異例ですし、内容も聖書的というよりきわめて中世的です。


「レクイエム第8曲:Domine Jesu」

  光栄の王、主イエズス・キリストよ、
  死んだ者すべての霊魂を、地獄の淵とそこなき深淵かとから救いだし、
  獅子の口から解き放ち給え。
  かれらを冥府に落とさず、闇に投げたもうな。
  旗手聖ミカエルが、かれらを聖なる光明に導かんことを。
  主が、その昔、アブラハムとその子孫に約束したもうたその光。


「レクイエム第9曲:Hostias」

  主よ、称賛の生け贄と祈りとを、我等は主に捧げ奉る。
  本日記念する霊魂のために、これを受け入れ給え。
  主よ、彼らを死から生命へと移し給え。

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