第1部 Missa
1-12. Cum Sancto Spiritu
【編成】 5部合唱、
トランペット3、ティンパニー、フルートトラヴェルソ2、オーボエ2、ファゴット2、弦楽、通奏低音
【調性、拍子】 ニ長調、3/4
【作曲経緯】 パロディーの可能性は否定できないが原曲が見つかっていない。逆に後にBWV191に転用されたことははっきりしている。その際、歌詞は他の異なったラテン語の歌詞がつけられている。
【評価等】 ヴォヴァーチェ。協奏曲的な要素を持つとともに、中間部では合唱と通奏低音だけというア・カペラ様式も取り入れられている。
〈Gloeia〉冒頭の合唱曲に対応する終曲で、ホモフォニー部分とフーガ部分を自在に使い分けながら、溌剌とした盛り上がりを作り出す。
前曲のリトルネッロが終わると、切れ目なしに合唱が“Cum Sancto Spiritu[聖霊とともに]”と歓呼の声を持って歌い始める。〈Kyrie〉と〈Gloria〉からなる《Missa》と表示された第1部の終局にふさわしく、全オーケストラが登場する。ホモフォニックな導入部に続く合唱フーガの主題はまずテノールにあらわれ、ついでアルト、ソプラノ I 、ソプラノ II 、バスの順で模倣される。
器楽の間奏、きわめてホモフォニックな合唱部を経て、大詰めはソプラノ氓ゥら開始される壮大な声楽ポリフォニーである。オーケストラもしだいに器楽の数を増やし、最後はトランペットが高音域で活躍しながら華々しく曲が締めくくられる。
シュヴァイツァーは、Domine Deus、Qui tollis peccata mundi、Qui sedes、Quoniam tu solus sanctus、Cum sancto spirituまでを一括して論じているのでここで紹介する。
「ここからキリストの讃美がはじまり、クレドに至るまでそれが続くからである。讃美に関するこれら諸段落の歌詞の連続性はこれらの諸段落を切らずに次々と歌うことによって表出せられねばならない。
この部分の独唱ナンバーは通例おそきに失している。それで、特に独唱者がバッハの指定したラレンタンドなどに、さらに自分のラレンタンドを付け加える時には、この楽曲の活き活きした動きが台無しになる。
Cum sancto spirituの段落の終わりと、クレドの間にロ短調ミサ曲の第1番目の大きな切れ目がある。