35年前 と言うと私はまだ7歳の時、木川田 先生は二期会関西支部を創設することとなった。「創設する事となった」とは簡単に言えるが安易になしえた事ではないだろう。最初は5名が名を連ね創設員となり現在その創設者も2名が在籍していてその内の一人が木川田先生だ。 今回の「木川田 誠リサイタル」には関西二期会創立35周年に寄せて・・と言う題が付いての開催だが私は木川田先生の35年間、いやもっと昔からの音楽への信念のようなものを感じる。当のご本人は「創設者が少なくなったので・・・」とおっしゃるが、そこには音楽と言う大きな目標に向かういまだ変らぬ音楽家の情熱を感じる。 関西二期会が社会に認知されだしたのは創設以来実に30年を過ぎる頃から、すでにオイルショック、バブル時代を経て不況と言われるその時期に達していたまさにその時である。今から5年前。下積み30年間の運営継続努力は並大抵の事ではない、私にはそれがよくわかる。何故なら私も小さいが音楽ホールなるものを 運営しているからだ。私のホールは今まさに下積みの時、はたして30年もの間継続できるか正直言って自信はない。 先生が35年間で学ばれた事は数しれず、今回のリサイタルは先生の音楽の裏側にある年輪のような物も聴かせて頂けるのではないかと楽しみにしている。 「時代の移り変わりをインターネット、キャッシュカード、携帯電話等で感じるんだ、自分はこれから先もそれをみとどけたい。」とおっしゃる木川田先生だが、しっかりその時代に生きておられる証はEーMAIL。重宝しておられるようだ。又先生はアルツハイマー世代などと年齢が不便をもたらす要因を楽譜暗記の不自由に例えられ、「これは世界残酷物語だ」と笑いながら、あっさりやってのけるところはプロの声 楽家。裏側の苦労を表には出さない。 今回のリサイタル、若い歌い手では出せない味を必ずや聴かせていただける、見せていただけると私は確信している。 奏美ホール:景山 陽彦 |