原田茂生(バリトン)
 高知市生まれ。京都大学工学部を経て東京芸術大学声楽科に入学。伊藤武雄、矢田部勁吉、中山悌一の諸氏に師事。同大学卒業後 DAAD 奨学生としてミュンヘン音楽大学に入学。R・ホルム教授に学ぶ。ベルリン音楽大学に転入。H・ディーツ、H・ゴットシャルク両教授に学ぶ。同大学卒業の年からブフォルツハイム歌劇場のバリトン歌手として専属契約、「セヴィリアの理髪師」のフィガロでデビュー、その後「コシ・ファン・トゥッテ」のグリエルモ、「ランメルムーアのルチア」のエンリーコ、「ドン・パスクワーレ」のマラテスク、「ウィンザーの陽気な女房たち」のフルート等で出演。8年のドイツ滞在から帰国以来、二期会、東京室内歌劇場、日本オペラ協会、東京オペラ・プロデュース等、諸団体オペラ公演に数多く出演している。オーケストラの演奏会ではベートーヴェン「第九交響曲」、フォーレの「レクイエム」、ブラームスの「ドイツ鎮魂曲」、マーラーの「さすらう若人の歌」等のソリストとして活躍。また特にドイツ歌曲のスペシャリストとして定評があり、シューベルト、シューマン、ブラームス、ヴォルフ、リヒャルト・シュトラウス等の歌曲で、これまでに多くのリサイタルを開いている。最近モーツァルトの歌劇「魔笛」で指揮者・演出家としてのデビューを果たした。
 F・ディースカウ著「シューベルトの歌曲をたどって」「シューマンの歌曲をたどって」(白水社)などの訳書、シューベルトの歌曲やイタリア古典声楽曲などの楽譜編纂など、声楽曲の研究にも力を注いでいる。また 1987 年と 92 年にはシュトゥットガルト音楽大学の招きでドイツ歌曲の特別講座を開いた。 97 年 4 月にはデュッセルドルフで、7 月にはワイマールでやはりシューベルトの歌曲によるリサイタルを開いた。現在尚美学園大学芸術情報学部学部長、東京芸術大学名誉教授。
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