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フィレンツェ市街の遠景


 イタリアのフィレンツェ、それは、学生時代からの、あこがれの街だった。

 辻邦生の小説「春の戴冠」に描かれている街。
 豪商メディチ家のいた街。
 数々の美術品に彩られた街。

 La Primaveraという活動の発足に際して、その名前を戴いた名画のあるこの街を是非を措かず、訪問したいという気持ちは、抑え難い熱情として私の心に宿った。

 スイス経由の夜行寝台列車から、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅に降り立った時、ついに来たという感激に、心が踊った。あいにく雨天であったが、ホテルに荷物を預けるや、フィレンツェの街に繰り出した。



石造りの町並の向こうにサンタ・マリ
ア・デル・フィオーレが見えた。  


サンタ・マリア・デル・フィオーレに
近づくと、朝8時の鐘が鳴り渡った。
(click here for movie: 2.3MB)
 サンタ・マリア・デル・フィオーレ(ドゥオーモ)は、フィレンツェを象徴する美しい教会である。辻邦生は、"花の聖母寺"と訳している。フィレンツェの街の中にいると、建物の間から見える、その美しさ、壮大さは、日本の持つ文化財とは別種の輝きを放っている。1296年から175年の歳月をかけて建造された。建築に際し、部分部分のデザインは公募によって選定され建築を委嘱されている。一番目を引く、丸いドームのクーポラは、ブルネレスキの設計による。高さは107m。ドームは二重構造で、その重さを支える。内と外の殻の間にしつらえられた464段の階段を昇り切ると、フィレンツェ市街が一望の元に見渡せる。高さは、姉妹都市、京都の駅前にある京都タワー展望台とほぼ同じであるが、眼下に見えるのは、茶色に統一?され、伝統を感じる屋並。ルネッサンスの雰囲気は、上から見下ろしても、市内を歩いて感じたのと同様である。近代的な高層ビルなどは見当たらない。

 一方、薄暗いドゥオーモ内部で、ひときわ目立つのが、クーポラ内側の天井全面に描かれた壁画。どうやって、あんな高いところに、あれだけ精緻な絵を描けたのか、先人の技は現代の我々の及ばぬ才知を窺わせる。

ドゥオーモ内部のムービー (click here for movie: 1.6MB)


8000リラ(約600円)の登楼料を払えば昇れる、クーポラ頂上からの眺め。真ん中に見えているのは、ジオットの鐘楼。こちらも414段を昇りきると、82mの頂部に達する。

クーポラ頂上からの眺め (click here for movie: 1.6MB)


 ドゥオーモの外面は、全体の壮大さに目を奪わ
れるが、注意してみると、壁面はかなり繊細な作
りとなっている。ビデオカメラをズームアップす
ると、ある部分のみでも一つの美術品として成立
するほどの出来であることが判った。それほど、
当時のフィレンツェ市民の審美眼が妥協しない 
レベルのものであったのか、とため息が出る。 
(click here for movie: 2.4MB)

p.2 に続く