p.1

 松山猛さんの「ヴィヴァ! イタリアの職人(アルティジャーノ)たち」や朽見行雄さんの「フィレンツェの職人たち」を読むと、イタリアの職人さんたちが、いかに優れた技術を持ち、誇りをもって良い品々を今も作り続けていること。また、自らの店を持って自作を販売している人も少なくないこと。そして、それを回りの市民達も支えていることがよくわかる。私も、本を読んで感銘を受けた一人で、いつかこの人達に会いたい。できれば、知り合いになれる道は、ないものかと夢ばかりふくらむ日々が続いた。
 しかし、その日は思ったより早く来た。ドイツとイタリアに、ある目的の特別企画団体旅行で行くことになったのだ。しかも、フィレンツェも旅程に入っている。これは、チャンスだ。でも、行ってもちゃんと、その店をみつけられるのか。まして、その職人さんに会えることは、むつかしいのではないか.......。
 だが、そういった悩みは杞憂だった。

マンニーナ親方と夫人

お店の中の様子

(click here for movie: 1.3MB)
マンニーナさんは、手作りの靴屋さん。店は、ヴェッキオ橋を渡って、ピッティ宮殿へ行く途中の道の右側にある。フィレンツェ初めての私でも、わかりやすい場所にあった。店を入ると、評判の靴の他、ハンドバッグやベルトなどが並んでいる。応対してくれたマダムに、「こちらのお店は日本で出ている本で知りました」、というと、「この本でしょう」と松山さんの赤いカバーの本を手にうれしそうに話してくれた。
この人が、マンニーナ夫人だった。

マンニーナさんの腕を示す
Diploma di Antica Bottega
Artigiana
マンニーナさんは、シチリア出身の代々の靴職人の家系の出という。最初に祖父に手ほどきを受けたという腕から生み出される靴の出来は、エレガントで履き心地も良さそうである。店に飾ってある証書は、その腕前の確かさを示している”伝統工芸職人”の証書。

若き日のマンニーナさんの写真も
店内には、かざってある    
奥さんから、飾ってある証書や何枚も掛けられている若いころのマンニーナさんの写真を紹介されているうちに、「よかったら、主人を呼んできましょう。今だったら大丈夫です。」と店の奥からマンニーナ親方を呼んできてくれた。              

p.2 に続く