トップページモーツァルト研究ミサとレクイエムの構成ミサ/レクイエムの式次第 叙唱 (Praefotio)

ミサ/レクイエムの式次第
 叙唱 (Praefotio)


B-2-a. 叙唱 (Praefotio)   (通)(司)

 「密唱」が終わると司祭と参列者との間で「主は皆さんと共に」、「また司祭と共に」に始まる短い掛け合いのあとに、司祭は「プレファチオ」(叙唱)を朗読します。「叙唱」は以前は「序唱」と書いて、次の「奉献分」の前置きのように理解されました。それは、"Prae-(前)" という接頭語を時間的な意味に解釈していたからですが、本来この「前」というのは空間的な意味で、司祭が神と全会衆の前に立ってキリストの救いを「叙べる」という意味ですから、今のように改められました。
 ローマ典礼ではミサの種類に応じて15種の叙唱が定められており、季節ごとの典礼の特徴を述べる祈りとなっています。例えば、「復活祭の叙唱」、「聖霊降臨祭の叙唱」といったものです。
 「死者のための叙唱」は中世的な不純物の混入していない、キリスト教本来の死生観が表現されていますので、以下にその全文を紹介します。


「聖なる主、全能の父、永遠の神よ、何時いかなる場所においても私たちの主キリストによってあなたに感謝をささげることはふさわしく、正しく、私たちの義務であります。キリストにおいて、幸いの復活の希望が私たちの上に輝きました。死すべき定めに悲しんでいた私たちも、来るべき不死の約束によって慰めを受けるのです。なぜならば主よ、あなたを信ずる者の生命は取り去られるのでなく変えられるのであり、地上のすみか(である肉体)は滅びても、天に永遠のすみかが与えられるのですから。それゆえ、天使と大天使、玉座天使とともに、また天のすべての万軍とともに私たちは、あなたの栄光の賛歌をつきることなく歌います。」

(ミサとレクイエムの構成)へ