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ミサ/レクイエムの式次第
 典文 (Canon)


B-2-c. 典文 (Canon)      (固)(司)

 聖歌隊がベネディクトゥスを歌っている間に司祭が「典文」を唱え始めます。この祈りは「カノン(ギリシャ語で「基準」の意味)」とも呼ばれ、ミサ中で最も大切な祈りです。キリストが十字架の上に身をささげて人類の救いのための生け贄となられたことを記念し、聖霊がこの場に臨んで供え物をキリストの体と血に変えて下さること(「聖変化」)を祈り求め、キリストの再来と死者の復活を待ち望む信仰をせんげんするものです。従って、深い神学的意味と、豊かな象徴的イメージが含まれているのですが、前にも述べたとおり長いラテン語の祈りですから一般信徒には良く理解できません。そこで「ベネディクトゥス」が歌われているうちに小声で唱えます。
 けれども、理解できなくても大切なところだけはすぐそれと気がつくように、要所要所で声を高めたり、唱え方についてこまかな規定がありました。ことに聖変化したパンとぶどう酒を、司祭が高くかかげて信徒に示す「聖体奉挙」は、改革前の典礼ではミサのクライマックスと考えられていましたから、ベルを鳴らして注意が喚起されました。
 このような場で歌われる「ベネディクトゥス」ですから、この「奉献文」に込められた深い意義を表すため、しばしば神秘的な曲調に作曲されるのも当然でしょう。「ベネディクトゥス」の後半には「オザンナ・・・」が再び繰り返されます。

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