トップページモーツァルト研究ミサとレクイエムの構成ミサ/レクイエムの式次第 主の祈り (Pater noster)

ミサ/レクイエムの式次第
 主の祈り (Pater noster)


B-3-a. 主の祈り (Pater noster)   (通)(司)

 「ベネディクトゥス」の聖歌が終わり、また「奉献文」も唱え終えられると、司祭は祈願を呼びかけ、「主の祈り」を唱えます。「主の祈り」はイエス自身がこのように祈れと弟子たちに教えられた、すべての祈りの模範となるべき最も完全な祈りとされており(マタイ6:9〜13他)、信徒はすべからく暗唱すべきもの、礼拝においてはそのクライマックスとなるとなる箇所において唱えられるべきものとされています。本来、共同の食事から発展した「ミサ」ですから、そのクライマックスといえば、一同が生け贄のパンとぶどう酒を飲食する「聖体拝領」でした。そこでその直前であるこの箇所で「主の祈り」が唱えられるわけです。しかし中世以降聖体に対する行き過ぎた畏敬の念から、信徒の聖体拝領が次第に行われなくなり、聖体拝領は司祭だけ、信徒は司祭のかかげる聖体を仰ぎ見て崇敬するだけになりました。従って、改革前の典礼では「主の祈り」を唱えるのも司祭だけ、会衆はそれに答唱するだけです。


《原著注:ケルビーニ、フォーレ、デュリュフレ等、フランスの「レクイエム」では「感謝の賛歌」と、次の「平和の賛歌」のあいだに「慈悲深きイエスよ(Pie Jesu)」がおかれていますが、これは「ローマ典礼」にはありません。フランス独自の慣例かと思われますが詳しいことは分かりません。けれども、歌われたとするなら「主の祈り」への答唱として用いられたのではないかと考えられます。

(ミサとレクイエムの構成)へ