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はじめに


 今から4半世紀前にもなる1970 年代は、フランス音楽分けてもフォーレの音楽の愛好家にとって、忘れられない時代であったと言われる。ジャン・ユボーを中心とするフランスの名手たちが、初めて本格的な室内楽全集を出したのが1971 年。熱心な愛好家達は、それこそ全身を耳にして聞き入った。ピアノの奏でるアルペジオがあたかも満天の星のように聞こえ、頂点を目指し駆け上がってくる4つの弦が満開の華のように見えた。

 その後のジェラール・スゼーらの歌曲集(1976 年)、ジャン・ドワイアンのピアノ曲集(1979 年)とともに、フォーレを愛する人たちは、今でもこれらの演奏を間いた時の感動を熱っぽく語る。母国の音楽家たちによるこれら3つの全集により、フォーレの三大領域の全体像が初めて体系的に示され、東洋の島国における一般的理解、即ち「夢のあとに(1878 年)」に代表される2-3の歌曲やレクイエム(1900 年)など周知の作品を基にした、「甘美な音楽家」というあまりに一面的な理解は、この時はじめて全面的な修正を求められたのである。

 1996 年に死去した高名なチェリストの井上頼豊氏は、フォーレなどフランス音楽の精神的核心として、「ラ・マルセイエーズ」(フランス革命における進軍歌〕の存在を挙げている[12]。これは、ロマン派から近代にかけての優れたフランス音楽が共通して内包する堅い芯、中でもフォーレのあの沸き上がるような内面的感動の本質を一言で見事にいい表した言葉である。

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