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ペリアスとメリザンド(1898−1900年)


 「青い鳥」で有名なメーテルランクの同名の戯曲(悲恋物語)は、象徴劇として当時広く受け入れられ、フォーレ以外にもドビッシー、シベリウス、シェーンベルクが音楽的題材として取り上げた。特にドビシーのは,反ワーグナー(反「トリスタン」)の立場から創られたオペラの傑作である。
 この劇は、岩波文庫の杉本秀太郎氏の訳本解説に基づけぱ[10]、水の精としてのメリザンド(自然的、自発的、平和的)と若き王ゴロー(社会的、契約的、闘争的)との確執と破局と概括してよいだろう。ゴローの弟ペレアスと老王アルケルも、客々このカテゴリーに帰属する。

 あらすじは、狩で森に迷い込んだ王子ゴローは、泉のそばで泣いているメリザンドを見つけ妻とした。しかし弟ペレアスもメリザンドにひかれ、両者は互いの心に共通の夢が宿っていることに気づく。苛立つゴローはメリザンドを執ように責める。(この場面でのドビッシーのオペラは素晴らしい。)やがて二人の密会が露呈し,ペレアスはゴローに殺される。メリザントドはペレアスの子供を産んで死ぬ、と言うものである。

 この組曲は、1898 年ケックラン(フォーレの弟子)により作られた劇付随音楽に対し、抜枠と若干の加筆を行って完成された。第1曲の「前奏曲」はメリザンドとゴローの出合をライトモティーフにより象徴する。第2曲の「糸を紡ぐ女」では、第3幕第1場でメリザンドが糸を紡ぐ様子が描かれる。ここでは、古城に事実上閉じ込められ自由(水の精は自由の象徴)を失った悲しみを淡々と表す。第3曲の「シシリエンヌ」は、別作品「町人貴族」(1893 年)から転用された。旋律性に富み、単独でも有名である。第2幕第1場、泉のほとりで戯れるペレアスとメリザンドを描く。ここでメリザンドは半ぱ意識的に結婚指輪(「ニーベルングの指輪」と同様「契約」を象徴)を水に落とし、これが破局の遠因となる。第4曲は「メリザンドの歌」であり,第3幕第2場のメリザンド(警護兵に見張られている)の次の歌詞を伴う[10]。終曲の「メリザンドの死」は、彼女への葬送曲であり、引きずるような歩みは、黄泉(水)の国からのお迎えの行列を描く。

 三人の盲目の姉妹(まだあきらめてはいけないわね)。三人の盲目の姉妹が、手に手に責金のランプを持っています。
 塔に登って行きます、(三人のほかに、あなた方も私たちも)。塔に登ります,七日七夜 待っているのです。
 あら と姉妹の一人が申しました、(まだあきらめてはいけないのね)。あら と姉妹の一人が申しました、あたしランプの明かりが聞こえる。
 あら と別の一人が申しました、(三人のほかに あなた方もわたしたちも)。あら とその娘が申しました、王様が塔にあがっていらっしゃる。
 いいえ と一番清らかな娘が申しました、(まだあきらめてはいけません)。いいえ と一番清らかな娘が申しました、あたしたちのランプは もう消えているのよ---


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